再現事件とは(冤罪事件における)

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「再現事件とは何か?」と聞かれたので…

もう数年前のことになります。都内某居酒屋での飲み会で、私が冤罪支援の話をした折、私の口から「再現実験」という言葉が出、「再現実験って何?」と聞かれたのですが、口頭で、しかも酒席で説明することはできそうになかったので、「ブログに書くから、それを読んで」と答えておきました。一度は書いたのですが、もう一度しっかり書きなおそうと思います。

「再現実験」を簡潔に言うと…

人を事件の犯人と確定する場合、例えば殺人事件なら、「殺った、殺らない」だけでなく、「どのように殺ったのか」「どのように逃げたのか」も問われることになります。それを被疑者・被告人が自白する場合もありますし、自白がない場合には「どのように」も検事が考えます。例えば布川事件の場合、桜井さんと杉山さん二人の膨大な量の自白調書がありますが、「真犯人でなければ、これほど具体的かつ詳細で迫真性のあることは述べられない」と自白を唯一の証拠として、無期懲役の判決を受けました。

で、再現実験とは、この「どのように」の部分が、果たして可能なのかを実験で確かめようというものです。

具体的に布川事件で説明します

例えば指紋

1967(昭和42)年8月30日の朝、茨城県北相馬郡利根町布川で、一人暮らしの大工のTさんが、自宅の八畳間で殺されているのが発見されました。室内は、強盗殺人であることが一目で分かるほど荒らされていて、桜井さん杉山さんが犯人とされたのですが、現場からは二人の指紋は出てきていませんし、二人の自白には、あらかじめ手袋などを用意したとはなっていません。つまり残暑厳しい8月末に、Tさんを殺害した後、素手で物色したことになります。にもかかわらず現場からは二人の指紋は出てきていません。気温や湿度、二人の発汗状態など同じ条件下で、そんなことが有り得るのか、これを実験します。これには特殊な機器も必要でしょうね。

例えば殺害方法

上の写真は、布川事件検証調書添付写真です。床がVの字に落ちているところで、自白では、Tさんが騒ぐので杉山が口に布を詰め、声が出なくなったら足をばたばたさせたので杉山が足を押えて桜井が縛り、杉山がまた向きを変えてTさんの両手を押え、桜井が首を締めた……ということになっています。
下の写真は、守る会現地調査参加者に向けて行われた再現事件です。自白どおりにnextnextの順だと、二人で足を縛っている間、Tさんは上半身を自由に動かすことも、口の中のパンツを取り出すこともできることを示しています。

例えばガラス戸の散乱状態

 

上の写真は、検証調書添付写真で、ガラス戸のガラスは写真のように散乱していました。下の写真は、犯行現場を寸法通りに再現して行われたものです。これは支援者向けではなく、弁護団証拠作りのための実験です。自白どおりの乱闘や偽装工作で、果たしてこのような結果になるのか。ならないならば、自白は真犯人が真実を語ったのではない虚偽自白ということになります。

まとめ

電車の中の痴漢冤罪であるとか、事件の性質によって再現するものは違います。

以前、私が布川事件ガラス戸の実験の話を周囲にしたとき、「ガラス戸の実験って何?」と聞かれたことがあります。自白どおりの乱闘や偽装工作で、果たして検証調書とおりの結果になるのか。ガラス戸の実験は、これを知るため、調布の大映スタジオに、被害者宅を寸法通りに再現して行われたかなり大掛かりな行動科学実験でした。

この弁護団ガラス戸の実験に、守る会から私の他に2人、計3人が手伝いに行きました。何を手伝ったかというと、昼食の用意とか、まだまだ暑い9月上旬に行われたため、スタジオ内の冷蔵庫に常にペットボトル飲料を欠かさないようにしておくとか、雑用全般でした。休憩時間は、お弁当の手配やら何やらで忙しかったのですが、弁護団が実験しているときは逆に暇で、スタジオ中を好きなように動き回り、何気なくカバンに放り込んだ小型カメラ(コニカ ビックミニ)で写真をたくさん撮ることができたのです。この記事に出てくるカラー写真は、その時のものです。このビックミニはフィルムカメラゆえ、パソコン時代にほとんど使わなくなっていますが、いまも私の手元にありますし、シャッターチャンスっていつあるか分からいからと、コンパクトデジカメをカバンに入れるようになったのも、この時以降のことです。

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